妊婦さんなら誰でも、自分は普通分娩で出産するものだと思っているでしょう。しかし、なかには帝王切開での出産を余儀なくされる人もいます。私もそのひとりです。
出産に良し悪しはありませんが、帝王切開だと普通分娩とは少し違った苦労があるのは事実。実際に緊急帝王切開で第1子を出産した私が、帝王切開での出産後つらかったことと良かったことを紹介します。
帝王切開で出産後つらかったこと5選
私が帝王切開での出産後、個人的につらかったことを紹介します。人によってつらいことの基準が違うのでどこまで参考になるかは未知数ですが、帝王切開で出産する予定の人にとって、自分がよりよく産後を過ごすためのヒントになれば幸いです。
1. 手術後の痛みがつらい
帝王切開で何よりつらかったのが「傷の痛み」です。手術後は痛み止めの点滴を打たれてベットで過ごすのですが、数時間おきに痛み止めが切れはじめると同時に、ジワジワ痛みの波がやってきます。
特に手術後半日は痛みとの戦いで「寝たいのに、寝れないほど痛い」という、人生で初めての体験をしました。
初めはどのくらいの痛みでナースコールをするべきかわからなくて、結局ウンウン言いながら悩んでいるうちに小一時間ほど経過してしまいました。時間の経過を目の当たりにしたことで明らかに我慢のしすぎだと気付き、そのあとは痛くなったらすぐナースコールをするようにしたら楽になり、痛み止めが効いているうちは眠ることができました。
帝王切開後は体力回復を早めるためにも、我慢せずにつらくなった時点ですぐナースコールするのがおすすめです。
▼帝王切開の痛みはどんな感じ?体験談はこちら

2. 寝返りがうてないのがつらい
帝王切開で下腹部を切ると、驚くほどお腹に力が入りません。起きているときはまだ良いのですが問題は寝るとき。一度横になったら最後、起き上がることはもちろん、寝返りすらうてなくなります。いつもは無意識なので寝返りの重要性など考えたこともありませんでしたが、寝返りしないと身体が痛くて眠れなくなってしまうとは、大きな誤算でした。
初日は激痛とこの寝返りが打てないのとダブルで悩まされ、つらかったのは言うまでもありません。しかし私が地味につらかったのが、2日目以降に移動した部屋のベッドが、手すりのない普通のベッドだったことです。
手すりがあればその手すりを頼りに起き上がることができるのですが、普通のベッドでは全く頼るものがないので、起き上がるのがかなり困難になりました。苦肉の策でうつ伏せで寝るようにしてみましたが、やはりずっと同じ姿勢で寝ることはできないので限界がきます。初日〜3日目くらいまではそんな状況のため、夜眠れない日々が続きました。
今思えば、助産師さんに相談すれば何かいいアイデアがあったのかもと思います。私と同じ状況に陥った場合は、一度病院側に相談してみることをおすすめします。
3. 足のむくみがつらい
私はもともとむくみやすい体質で、むくまない日はないというタイプなのですが、出産後は今まで体験したことのないようなむくみが現れました。冗談かと思うかもしれませんが、例えるなら「ゾウの足」と言う表現がぴったり。
産後のむくみは出産方法問わず起こるようですが、帝王切開だと身体が思うように動かせないこともあり、余計にひどくなりやすいように感じます。私は退院する頃までにむくみは落ち着きましたが、普段からむくみがひどい人はセルフケアできるグッズがあると快適に過ごせるかもしれません。
4. 傷が治るまでに時間がかかるのがつらい
帝王切開の痛み自体は痛み止めの処方とともに、退院する頃には落ち着きます。しかし、手術の傷はそうはいきません。私はかゆみに悩まされ、傷が落ち着くまで1年くらいかかりました。1年以上たっても、時々かゆくなることもあります。
手術の傷の治り方には個人差があるので、もし痛みやかゆみが気になるときは、早めに病院で相談した方が良いかもしれません。私も「これくらいなら我慢できるかな」とやり過ごしましたが、結局1年くらい悩むなら、早めに皮膚科などに行っておけばよかったと思います。
5. 普通分娩で産めなかったのがつらい
これはごく個人的なつらさなのですが、私は「赤ちゃんが弱っている」のが原因で緊急帝王切開となったため、出産後しばらく「普通分娩で産んであげられなかったのは私のせいだ」と落ち込みました。自分は普通分娩で産むものだと思っていたので、余計に「なぜ私は帝王切開になってしまったんだろう」「臨月の過ごし方が悪かったのか」と自分を責めて、わざわざ自分を落ち込ませてしまっていたのです。
もし二人目を授かっても、きっと帝王切開での出産になるだろうから「私は一生普通分娩を経験できないんだな・・・」と普通分娩で産んだママが羨ましくて仕方がない時期もありました。
しかし我が子が元気に育ち成長するにしたがって、帝王切開で出産したことに引け目を感じることはなくなりました。子どもが元気で幸せなら、出産の過程なんてささいな問題だということに気づいたからです。
帝王切開での出産に良かったことはひとつもない?
帝王切開でつらかったことばかりあげていくと、まるで帝王切開にメリットがひとつもないように見えますよね。実は帝王切開で良かったこともあります。
・通常分娩で出産できない赤ちゃんも無事に出産できる
・短時間で、痛みを感じずに出産可能
・出産費用が一部戻ってくる
私の場合「赤ちゃんが弱っている可能性がある」とのことで、緊急帝王切開での出産になりました。もし帝王切開と言う出産方法がなかったら、我が子とは会えなかったかもしれない・・・。そう思うと素直にありがたいと思います。
また、助産師さんに「初産は陣痛から出産まで10〜12時間くらいかかるのが一般的」と言われて「耐えられるだろうか」と不安に思っていた私には、陣痛の痛みに耐えることなく産めたのも、結果的には良かったのかもしれません。
出産は「腹を痛めて産んでこそ」と言うイメージが伴いますが(私だけでしょうか?)どんな出産方法でも、結局はママと赤ちゃんに負担のない出産方法がベストだと言うのが私個人の見解です。私の場合はそれが帝王切開だったんだなと思います。
帝王切開でお金が戻ってくるのはなぜ?
帝王切開でなぜお金が戻ってくるのかと言うと、帝王切開での出産は高額療養費の対象となるからです。高額医療費の申請をすることで、所得に応じて決められた「自己負担限度額」を超えた分が後日返金されます。私は11万円程度戻ってきました。
予定帝王切開であれば高額医療費の事前申請も可能な病院も多いため、事前にわかっている場合は早めに申請しておくのが良いでしょう。
私の場合緊急帝王切開だったため事前申請は使えず、各種健康保険から支払われる出産育児一時金42万円との差額は一度全額支払いする必要がありました。病院によって異なりますが、私の場合は出産育児一時金との差額は24万円ほど。決して安くはないので、高額医療費で返金があったのはありがたかったです。
また個人的に医療保険に加入している場合は、帝王切開が給付金の支払い対象かどうかも確認しておきましょう。私は加入している医療保険の給付金で、さらに6万円支払いがありました。加入している医療保険によっては、黒字になる場合もあるかもしれませんね。
赤ちゃんが元気に生まれてくれることが一番
ママへの負担が大きい帝王切開を、わざわざ選ぶ妊婦さんはいませんよね。人によって事情は違いますが、すべては元気な赤ちゃんを産むために選んだ最善の手段です。私も当時は大変な思いをしましたが、今となっては「もしまた同じつらさを味わうとしても、もうひとり子どもが欲しい」と思えるまでに回復しましたよ。
いつか将来子どもが大きくなったときに、帝王切開での出産をつらい思い出ではなく、いい思い出として話せたらいいなと思っています。
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